実務修習…私が弁護士になるまで9

 

司法修習生は,東京で集中的に前期修習を経験したあと,日本各地に分散して実務修習を受けます。

 

裁判所,検察庁,弁護士の三者の実務を合計1年間見学させていただくのです。

 

司法修習生は,「法律家の共通の子供」ですので,どこでも,丁寧に,好意的にあつかってもらえます。

弁護士事務所では,事務所の弁護士と行動を一緒にします。

 

「弁護士って,活動範囲が広くて,アクティブだなあ」と思いました。

 

検察庁での修習は,一番エキサイティングです。

 

なにしろ,犯罪の嫌疑を受けている被疑者(一般には「容疑者」)を,修習生が自分で取調べをするのです。

私の最初の被疑者取調べは,傷害事件の被疑者でした。

 

不良にからまれて逃げているときに,たまたま近くにいたタクシー運転手を殴ってケガをさせてしまった,という若者でした

 

当時は,血の気の多かった私が

 

「関係ない人を突然殴るとは卑怯者!それでも男かあ!」

 

と厳しく非難したところ,

 

若者も怒り出して

 

「なんだその言い方は!むかつく!」

 

などと言い返し乱闘寸前となり,その場は混乱してしまいました。

 

その場をおさめてくれた,修習生の指導担当の検事が若者に

 

「きみ,今日怖かったのか?」

 

とたずねると,若者は,素直に

 

「怖かった…」

 

と,うなだれました。

 

人間が暴力的になるのは「自分が恐怖を感じたから」という場合が多い,ということをそのときに学びました。

 

その後は,いきなり怒鳴るのはやめました。

この記事を書いた人

yoshida

香川県高松市の弁護士 吉田泰郎法律事務所です。JR高松駅徒歩5分。あなたが話しやすい弁護士をめざしています。

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