私が弁護士になってから 第3話…平成28年4月号ニュースレター

      2017/11/27

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(前回までのあらすじ 新人弁護士となった吉田は初陣としては手ごわすぎる整理回収機構を相手として起案に苦しんでいました。)

当時の事務所のボス弁の一人T弁護士は

「今回の,N銀行の役員の経営責任追及には,こういう本が役に立つと思われるから,読んでおきなさい」

と言い,私に,バブル崩壊に関する書籍を

10冊くらいプレゼントしてくれました。

「きみ,弁護士たるものは,裁判を起こすときには,そのテーマに関連する書籍を10冊以上は読むものだよ」

と,古い時代の職人的弁護士の矜持を語ってくれました。私は,当時は,若かったので,

「そうなんだ,弁護士たるもの,裁判ごとに本を10冊くらい読むのは,当たり前なんだなあ」

と素直に信じました。

後年,そこまで丁寧な仕事をするのは,大阪の弁護士3千人の中でも,この弁護士だけだと知るにいたるのですが…

 

今回,私は,破綻したN銀行の役員側の代理人です。ですから,破綻したN銀行の役員に責任がない,という立場で弁護活動をおこなわないといけません。

バブル崩壊の記憶が,まだ生々しい,平成12年当時のことでした。銀行こそがバブルの戦犯,まして経営破綻した銀行は絶対の悪という社会の風潮でした。その「絶対の悪」の側での弁護活動なのです。

「どうしたら勝てるのでしょう…」

ある日,苦しむ私を呼んで,T弁護士は,このような訴訟戦略を話してくれました。

「バブル崩壊をテーマとした,この裁判は,N銀行の個別の融資が違法か違法でないか,という話をするような,そういう小さい視点で論じてはいけない事件だ。

より大きな,壮大なストーリーを築きなさい。すなわち…(つづく)」

交通事故の後遺障害と損害賠償請求

弁護士1交通事故によって発生する損害の一つに,後遺障害に関する損害があります

後遺障害とは,交通事故によって負った怪我が完全に元の状態に治癒しなかった状態の事を言います。例えば,手足に麻痺が残ったり,顔に傷跡が残ったり,手足の関節がうまく動かなくなるようなことです。

後遺障害に関する損害賠償を決めるときに重要なのが「後遺障害等級」です。後遺障害等級とは,「どの程度の大きさの障害」であるかを判断するために,後遺障害に対して第1~第14級までの等級をつけたものです。

後遺障害に関する損害賠償としては,「後遺障害逸失利益」と「後遺障害慰謝料」があります。このうち,後遺障害逸失利益とは,後遺障害のため,本来できたはずの仕事が出来なくなり,将来,その分もらえたはずのお金がもらえなくなったお金のことです。

後遺障害逸失利益の額は,

被害者の年収×仕事が出来なくなった割合(労働能力喪失率)×事故がなければ働いていたはずの期間

といった計算で行われています。

 

(具体例)

たとえば,Aさん(年収350万円,後遺障害等級14級,労働するはずの期間を10年)というケースを想定してみますと,後遺障害の逸失利益は

350万円×0.05×7.7217=135万1297円(円未満切捨て)

となります。

一方で,後遺障害等級第14級の慰謝料は110万円になります。

さらに,後遺障害の損害の他の,入通院慰謝料なども加えますと,総額では,350万円から400万円になることも,よくあります。

第14級の後遺障害というものは,後遺障害のなかでは,一番低い評価の等級なのですが,意外と多く請求できると感じられませんでしょうか。

 

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