私が弁護士になってから 第4話…平成28年5月号ニュースレター

      2017/12/15

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(前回までのあらすじ 私の弁護士としての初仕事である,破綻したN銀行の役員の弁護のために,ボス弁T弁護士は,訴訟戦略を語りだしました…)

T弁護士は,このような戦略をたてました。

「この裁判は,N銀行の個別の融資が適切だったかどうかという小さい視点で論じてはいけない事件だ。個別の企業の個別の判断ではなく,その背景事情であるバブル発生と崩壊という本質的テーマを明らかにしなければならない事件だ。

そのためには,まず,バブル経済が発生し,崩壊した原因を追及しなければならない。」

「バブル経済の発生の原因追及ですか?」

私は,あまりに大きすぎる話に目をまるくしました。

「そうだ,原因だ。1970年代から1990年代にかけての日本経済という大きな流れの中で,バブル現象がどのように発生していったのか?」

「日本の政治や経済を動かしている巨人とも言うべき,日本国政府,とくに大蔵省(当時),日本銀行,メガバンクの動きが,どのように,最終的にバブルの発生,そして崩壊につながったのか,ということを具体的に当事者の名前を挙げながら語らなければならない。

バブル崩壊という,いわば激流にもひとしい環境のなか,巨人が歩き回る中で,小さなN銀行に何ができたのか?また,役員個人に,いったい,なにができたのか。一個人に責任を負わせることができるのか?それとも,個人に責任を負わせることのできない運命の流れとも言うべきことか?

きみは,そういう壮大なストーリーをこそ,語らなければならない」

それはまるで,練達の画工が,くるりと空中に一筆で描いたような,生き生きしたストーリーでした。

弁護士歴50年にならんとする,ベテランのT弁護士に「弁護士とはかくあるべきもの」と身をもって教えてもらったことは,私にとっての終生の財産になったと思います。

(つづく…)

交通事故の「将来の介護費用」

弁護士3将来の介護費用

交通事故によって重大な後遺障害が残ってしまった場合,将来,被害者の介護が必要になる場合があります。例えば,手足が麻痺してしまえば,その人はトイレに行くのにも,周りの人の介護が必要になります。

そして,介護をヘルパーさんに依頼する場合には当然お金がかかりますし,家族の方が介護をする場合も,介護のために,仕事やプライベートの時間を削ることになり,大きな負担となります。

このような,交通事故によって発生した後遺障害について将来,介護が必要な場合に,その介護にかかる費用を,交通事故によって発生した被害者本人の損害として,請求することができます。

これがいわゆる「将来の介護費用」です。

将来の介護費用の重大性

将来の介護費用が発生するのは,当然,介護を必要とするだけの重い後遺障害の場合です。将来の介護費用が認められる,多くの場合,後遺障害等級が2級以上のものです。

 

将来の介護費用を請求できる期間は,介護が必要な期間は,被害者が生存していると考えられる期間,すなわち,平均余命を基準として考えることになります。もし,20歳のときに重大な後遺障害が発生したのであれば,この先50年以上の期間にわたる介護費用を請求することになります。

金額的にいえば,3千万や4千万になることも多いです。

具体的な金額は,介護をするのが家族などの近親者なのか,職業的ヘルパーなのか,常に介護をする必要がある状態なのか,必要なときだけ介護をすればいい状態なのか,などの事情を考えたうえで,決まってきます。

後遺障害1級,2級,という重大な後遺障害が発生した場合には,「将来の介護費用」について弁護士にアドバイスをしてもらうようにしてください。

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