法律実務上のポイント  第2話 「もめやすい相続②」

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前号に引き続いて,「もめやすい相続」の典型例をお話したいと思います。

もめやすい相続のケース②

中小企業の事業者の相続

もめる原因の根本的なところとしては,やはり「被相続人と後継者」の考えと,後継者以外の相続人の考えが食い違うことが多いことが原因です。

「被相続人と後継者」の考えとしては,事業を継続させて維持して発展させていくことが当然だ,と考えています。

そのためには,会社の財産というものは,事業の基盤となるものであって,これを他の相続人に分割する,というようなことは,そもそも考えられません。

ところが,後継者以外の相続人の意識としては,事業の維持・発展は「他人事」という意識であることが多く,「事業を切り分けして現金化できるなら,現金にして分けてもらいたい」という気持ちもあります。

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後継者に,他の相続人に分けることができる十分な現金があればいいですが,そうでない場合,

・事業を維持し,発展させたい後継者

・相続分を現金で欲しい,後継者以外の相続人

との意見が対立することが多いのです。

そこで,中小企業の事業者の場合には,相続対策は重要となってきますが,実際のところ,事業者には,もともと生命力が強くパワフルな方が多いため,

「いつか考えればいいだろう。まだまだ,時間は十分ある。」

とお考えの方が多いと感じます。

 

次号「もめやすい相続のケース③」に続く。

この記事を書いた人

yoshida

香川県高松市の弁護士 吉田泰郎法律事務所です。JR高松駅徒歩5分。あなたが話しやすい弁護士をめざしています。

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