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利益相反に気をつけろ

Trouble

弁護士

弁護士は、利益相反問題には敏感にならなければなりません。
このところ、毎月のように、弁護士の懲戒問題が発生していますが、毎回、30%~40%が、利益相反により発生した問題です。

 

利益相反を、土地の売買を例にとって説明しましょう。

 

Aさんが自分の所有する土地をBさんに売却したいと思っています。
一方、Bさんは、Aさんから、その土地を買いたいと思っています。

 

もし、弁護士が、Aさんの代理人となって土地の値段を
「100万ではなくて130万円にしてくれ」
という主張をすると、Aさんは、30万円、余分に得をすることになります。
その一方で、Bさんの立場としては、余分に30万円を支払わないといけなくなるために、30万円分、損をすることになります。

 

こういうように、Aさんが得をすれば、必ずBさんが損をする、という関係を、
利益相反の関係
と言います。

 

この場合、弁護士は、Aさんだけを代理することはできます。
また、弁護士は、Bさんだけを代理することもできます。
しかし、AさんとBさんの両方を代理することはできません。
なぜならば、Aさんのために最善を尽くそうとすれば、必ずBさんにとって不利益が発生し、一方、Bさんのために最善を尽くそうとすれば、必ずAさんにとって不利益が発生するからです。

 

このように、弁護士は、利益相反の関係になる当事者の両方を代理することは禁止されています。
また、もしも利益相反の関係になる当事者の両方を代理してしまった場合には、両方の代理人を辞任しないといけなくなります。
注意しないといけないのは、「両方の」代理人を辞任しないといけなくなるという点です。
一方の代理人だけを続けることも禁止されているのです。

 

この問題が難しいところがあるのは、
最初から利益相反の関係にあることがわかっていれば、普通の弁護士は事件を受けないのは当然なのですが、
最初は利益相反の関係がなかったにもかかわらず、途中から利益相反が発生してしまう、
ということが、よくあるからです。

 

とくに、遺産分割事件などの場合には、相続人のうちの、誰の代理人なのか、ということを明らかにしておかないと、あとで利益相反問題につながります。

 

ありがちなのが、遺産分割協議のときには、弁護士が、相続人の全員の代理人として行動しているように振る舞っておきながら、
遺産分割協議がまとまらず、こじれてしまった後に、長男夫婦だけの代理人として紛争処理をおこなおうとする場合です。
この場合、次男夫婦としては、「みんなのために遺産分割をする、と最初に言っておきながら、そのあとで長男のためだけの代理人になってしまうのは、裏切られた気分だ」
と言いたくなります。

 

これが、まさに、
最初は利益相反の関係がなかったにもかかわらず、途中から利益相反が発生してしまう
という、典型的な例です。

 

とくに、最近の弁護士の懲戒事例をみていると、
利益相反の関係にあるにもかかわらず、当事者の両方の代理人として事件を受けてしまったために、懲戒を受けているという事例をよく見ます。

 

おそらく、いままでは、比較的おおらかな時代であって、弁護士の方も、利益相反の関係に気をつかうことが少なかったのでしょう。
その一方で、弁護士に依頼する人の権利意識が向上してきたと思います。

 

そのため、遺産相続に関連する、弁護士の懲戒事例が増加してきたと思います。