司法修習生は,東京で集中的に前期修習を経験したあと,日本各地に分散して実務修習を受けます。
裁判所,検察庁,弁護士の三者の実務を合計1年間見学させていただくのです。
司法修習生は,「法律家の共通の子供」ですので,どこでも,丁寧に,好意的にあつかってもらえます。
弁護士事務所では,事務所の弁護士と行動を一緒にします。
「弁護士って,活動範囲が広くて,アクティブだなあ」と思いました。
検察庁での修習は,一番エキサイティングです。
なにしろ,犯罪の嫌疑を受けている被疑者(一般には「容疑者」)を,修習生が自分で取調べをするのです。
私の最初の被疑者取調べは,傷害事件の被疑者でした。
不良にからまれて逃げているときに,たまたま近くにいたタクシー運転手を殴ってケガをさせてしまった,という若者でした
当時は,血の気の多かった私が
「関係ない人を突然殴るとは卑怯者!それでも男かあ!」
と厳しく非難したところ,
若者も怒り出して
「なんだその言い方は!むかつく!」
などと言い返し乱闘寸前となり,その場は混乱してしまいました。
その場をおさめてくれた,修習生の指導担当の検事が若者に
「きみ,今日怖かったのか?」
とたずねると,若者は,素直に
「怖かった…」
と,うなだれました。
人間が暴力的になるのは「自分が恐怖を感じたから」という場合が多い,ということをそのときに学びました。
その後は,いきなり怒鳴るのはやめました。
Comments are closed, but trackbacks and pingbacks are open.