裁判修習
弁護,検察,裁判,と法曹三者をまわる司法修習のうち,裁判修習では,裁判官 と一緒に行動し,法廷傍聴,判決の下書きなどをおこないます。
裁判修習で,もっとも記憶に残っているのは,事件のことではなく,京都家庭裁判所の裁判官室の窓から見える紅葉です。
京都の町中にある,京都地方裁判所とは異なり,京都家庭裁判所は,京都の下鴨という郊外の閑静な場所にあります。
中庭の紅葉は,秋になると真っ赤に紅葉し,時間を忘れて,うっとり眺めてしまうほど,美しいのです。
紅葉を借景とするために,裁判官室の窓は2メートル以上もあるような大きな特注品でした。
秋の日中に,仕事の合間に,ふと目をあげて,大きな窓の向こう側に広がる,真っ赤な紅葉をみていると,自分がまるで千年も昔にタイムスリップしたような,不思議な時間感覚にとらわれるのです。
ちょうど,私たちの班は,11月の最も紅葉の美しい時期に家庭裁判所に配属されました。
さまざまな裁判の事件の修習をしたはずなのですが,事件のことよりも,紅葉がすばらしかったことしか記憶に残っていません。
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