元「SPEED」の今井絵里子参議院議員(33)が、地方議会議員の男性と不倫関係にあったという疑惑が報道されています。
今回の疑惑については、本人は事実を認めていない状態とのことですので、あくまで、そういう「疑惑」が報道されているにすぎないという前提でお話をしたいとおもいます。
今回、国会議員の不倫疑惑ということで報道されていますが、国会議員と一般人では、不倫の報道に違いがあるのでしょうか?
じつは、決定的な違いが一つあるのです。
国会議員の不倫報道は、なぜ多いのか?
国会議員の不倫は、よく、ニュースで報道されます。
よくニュースで見るため、「国会議員は不倫してばっかりなのか?」と思う人も多いかもしれません。
しかし、ニュースで報道されるからといって、国会議員が特別に不倫が多いとは言えない、ということを踏まえておくべきだとおもいます。
一般人と比較して、国会議員の不倫が特別に多いわけではありません。
では、なぜ、国会議員の不倫報道だけが多いのか?
という疑問をもつ方も多いとおもいます。
これには明白な理由があります。
国会議員は、選挙で選ばれているため「公人」という扱いをされています。
法律上、「公人」に対しては、マスコミの報道の自由が大幅に尊重されています。
したがって、真実でさえあれば、マスコミは「公人」に対しては、何を報道しても自由だ、というのが現在の状態です。
これに対して「公人」はプライバシーを主張することが、ほとんどできません。
したがって、国会議員や公務員という「公人」に関する不倫報道が多いのは
「公人」に対する不倫報道は法律上、自由にできるから
という理由なのです。
決して、国会議員の不倫が、一般人に比較して、特別に多いというわけではないのです。
一般人の不倫を報道すると法律に違反するのか?
一方、一般人には、「そっとしておいてもらう権利」という意味でのプライバシー権があります。
不倫はもちろん悪いことですが、一方で、今の日本では不倫は犯罪ではありません。
犯罪でもないことを、他人が「あの人は不倫している」といって言いふらすようなことは、
たとえ、それが真実であったとしても、法律に違反することになるのです。
具体的には、名誉毀損罪(刑法230条)が成立する可能性があります。
したがって、「公人」ではな、一般人の不倫は、報道されることはありません。
芸能人の不倫を報道するのは問題ないのか?
あれは、問題がないのでしょうか?
芸能人は、法律上は「公人」ではありません。したがって、法律のうえでは、プライバシーの権利を主張できるようにもおもいます。
過去には、芸能人であっても、あまりに過熱な報道に対して、プライバシー権や名誉毀損の主張がされた例もあります。
ただ、芸能人は芸能活動をおこなうにあたって、自らプライバシー権を放棄していると、一般には考えられています。
したがって、芸能活動中の芸能人については、プライバシー権を自分で放棄していると解釈されることが多いと思われます。
ただし、芸能人も「引退」を表明して、今後は芸能活動をしませんということを宣言すれば別です。
芸能活動から引退する、ということは、今後は、勝手に報道してたらプライバシー権を主張しますよ、ということです。
そのため、引退を表明した芸能人に対しては、マスコミは、報道をひかえるのが一般的な態度です。
不倫が真実であった場合には、なんの不利益もないのか?
さきほど、不倫は犯罪ではない、ということを申しあげましたが、では、不倫が真実であったとしても、法律上,なんの問題もないのでしょうか。
不倫は犯罪ではありませんが、ただ、民事的な責任、つまり、損害賠償責任は発生します。
たとえば、今回、報道されている男性議員の妻が、今井絵里子議員に対して
「不貞行為を理由として損害賠償を請求する」
ということは、法律上は可能です。
不貞行為というのは、夫婦関係にある男女に対して、他人が肉体
関係をもつことをいいます。
ですから、不倫をしても何の問題もないわけではありません。
犯罪にはならないというだけであって、不倫は「悪い」ことには違いがありません。
議員資格に問題が発生するか?
不倫が発覚したという場合に、国会議員の資格に影響が出ることはあるでしょうか?
法律上は、不倫をしたからといって、国会議員の資格が当然になくなるようなものではありません。
もっとも、不倫は「悪い」ことには違いがありませんから、政治的な責任というものは存在します。
したがって、もしも不倫が真実であったとしたら、国会議員である以上、なんらかの政治的な責任は発生するとおもいます。
政治的な責任とは、たとえば、記者会見を開いて真実を述べること、記者の質問に回答すること、自民党の幹部に今回の件の説明をすること、国民に対して説明をすること、などの責任です。
それらの責任がどのように果されたかを踏まえたうえで、議員の資格については、今井絵里子議員が自分で決める問題だと思われます。
また、国会には、特定の国会議員に対して、辞職を勧告したり、場合によっては除名をすることも可能です(憲法58条2項)。
ただし、こういう議員の除名というのは、たとえば、国会で暴力行為をおこなったとか、他の国のスパイであることが発覚したとか、そういう、国の政治に関連して明らかな違法行為をおこなった場合だけに限定されるのが普通です。
今回のように、不倫が真実であれば、「悪い」ことには違いありませんが、国の政治にはとくに関係がないとおもいますので、除名というようなことにはならないと思われます。
いずれにせよ、国会議員である以上は、不倫疑惑に対して、なんらかの説明をして、政治的な説明責任を果す必要はあるとおもいます。
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