法律実務上のポイント  第3話 「もめやすい相続③」

yoshidabig

前回に引き続き、もめやすい相続の典型例についてお話したいと思います。

もめやすい相続のケース③

相続財産のなかに不動産が多く、預金が少ない場合

相続財産の中で大きなウエイトを占めるものは、不動産か金融資産だと思われます。金融資産には、預金、株式、保険などが含まれます。金融資産が多い場合には、相続手続はスムーズにできることが多いです。金融資産は人数に応じて分けやすいからです。

一方、相続財産に不動産が多い場合には、困った問題が発生することがあります。

不動産の問題点は、一つ目が「分けにくい」ということです。兄弟が3人いる場合に土地を3つに分けてしまうと、一つの土地が非常に狭くなってしまうことが多いので,使いにくいという点があります。

次に、不動産の場合には「売却することが難しい場合が多い」ということがあります。

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たとえば、親と長男が同居して、一つの家に住んでいたケースを考えます。この場合、親が死亡したとしても、まだ長男は自分がその家に住んでいるわけですから、長男は当然、売却することには反対します。

一方、他の兄弟の立場からすると、長男が家を独占してしまう結果となると、不公平感を感じることが多くなります。

こういう場合に、親がある程度預金をもっていれば「長男には家を相続させて、他の兄弟には預金を相続させる」という解決方法もあります。しかし,もしも預金が少ない場合には、こういう方法もとれません。

そうなると、長男としては「親が死亡したからといって他の兄弟から家の売却を迫られるなんて!」と怒りますし、一方で他の兄弟は「長男が唯一の相続財産の家を独占するなんて!」と怒ります。

そういうわけで、不動産の割合が多くて預金の割合が少ない相続は、もめてしまうことが多いのです。

この記事を書いた人

yoshida

香川県高松市の弁護士 吉田泰郎法律事務所です。JR高松駅徒歩5分。あなたが話しやすい弁護士をめざしています。

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