前回に引き続き、民法が改正されたことによって、交通事故の損害賠償の実務が、どのように変化するのか、お話しようと思います。
今回は、法定利率が変更されたということについてお話します。法定利率とは、法律で決められている利息の利率です。
改正以前は、民法上の法定利率は、一律5%とされていました。
しかし、今回の改正により、法定利率は当面のところ年3%と改正されることになりました。また、今後は、3年ごとに法定利率の額を見直すという「変動制」になりました。
結果的には、今回の法改正により、交通事故により後遺障害が残った場合には、賠償される金額が増えるということになります。
交通事故の損害賠償において、後遺障害逸失利益など、将来取得すべき利益の損害の賠償を求める場合、その利益を取得するべき時までの利息相当額が控除されます。これを中間利息の控除といいます。
例えば、5年後の収入に対する損害の賠償を求める場合、5年後までの利息相当分が減額されます。
中間利息の額は、法定利率を基準に定められます。そのため、利率が5%から3%になったことにより減額される額が減少することになります。
例えば、18歳の女性が、後遺障害等級1級の後遺障害が残存した場合(100%労働能力を失った場合)に、年収を300万円であると仮定すると、逸失利益の額は、現在と比べて、2000万円以上増えることになります。
このように、後遺障害がある場合、法定利率の変更は、大きな影響があるといえます。
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