弁護士に相談するときの上手な方法

nattoku

弁護士に物事を説明する難しさ

ご自分の悩み事を弁護士に相談するときに、どういうふうに話したらいいのか、ということを悩む人は多いと思います。

ビジネスで、営業や接客を経験している方は、よく経験があると思いますが、法律相談に限らず、「他人に対して、起こった出来事を伝える」ということは、そもそも難しいことなのです。

弁護士は、「他人に対して、起こった出来事を伝える」ということが難しいということを、よく理解しています。

ですので、ご相談者の方が、上手に物事を伝えることができなかったとしても、「伝え方が上手ではない」ということを理由で、怒ったり、批判したりはしないはずです。

さて、そうは言っても、物事の伝え方についても、上手に伝わった方がよいというのも事実です。

では、法律相談をするときに、どういうふうに伝えたら、上手に伝わるでしょうか?

伝統的に、よくおこなわれる方法として「時系列表をつくる」という方法があります。

時系列表のサンプル

たとえば、ある人が交通事故の被害に遭ったとします。その場合、以下のような時系列表になるかもしれません。

平成30年1月31日 交通事故発生

平成30年2月3日 初めて、事故の加害者側の保険会社の人と会った

平成30年2月5日 病院に通院を開始した

平成30年4月15日 病院での治療が終了した

平成30年4月30日 保険会社から、交通事故について、示談案が郵送で送られてきた

こういうふうに、「時間の流れにしたがって」物事を順序よく並べると、自分でも、驚くほどに、物事が整理されるのです。

また、日付を確認することで、分かってくることもあります。

たとえば、1月31日に交通事故が発生して、その3日後である2月3日に、保険会社の人と、初めて遭ったという日付を確認するだけで

「保険会社としては、放置はしていないな。ちゃんと、対応はしているようだ」

ということが分かります。

数は少ないですが、交通事故が発生したあと、被害者に全く連絡をしないような保険会社の担当者も、少数ですが、いたりします。そういう担当者とは違う、ということがわかるのです。

交通事故の直後には病院に行くべき

また、1月31日に事故が発生し、その後1週間以内である、2月5日に病院に通院を開始したということをみると、経験のある弁護士としては

「ああ、ちゃんと病院で治療を受けているということであれば、交通事故によってケガをした、ということについては、保険会社も疑いはしないだろう」

ということを予測します。

本当は、事故が発生したら、その日のうちに病院に行って、最初の治療は、すぐに受けてほしいところではあります。

ただ、そうは言っても、仕事の都合があったり、子供の世話をしないといけなかったり、という事情がいろいろあると思います。

ですので、事故から1週間以内であれば、保険会社も、それほど疑いようなことはないと思います。

ただ、たとえば、事故から2週間を過ぎてから、初めて病院に行ったとなると、困ったことになります。

というのは、保険会社は、「本当にケガをして、とても痛いのであれば、なぜ2週間、病院に行かずに我慢ができたのですか?」という疑問を言って来るからです。

たしかに、交通事故のケガの痛みというものは、とくに、事故の直後には、大きなものです。

普通の人であれば、何も治療をせずに耐えられるものではありません。

保険会社が、そういう疑問を行ってくるのも、分かるところがあるのです。

病院での通院日数からケガの大きさが分かる

この方の場合、1月31日に事故が発生し、病院での治療が4月15日に終了したとのことです。

そうすると、治療の期間は、2か月半くらいになります。

交通事故のケガの場合、たとえば、骨折があるときには、「鎖骨骨折」という傷病名を言うことで、ケガの大きさを、ある程度伝えることができます。

一般に、「骨折」している事故であれば、大きな事故であるというふうに考えてよいのです。

一方、骨折ではなく、打撲や捻挫の場合には、ケガの大きさを、どう伝えたらいいのか、という問題があります。

たんに「打撲」と言っても、1日で治るような打撲もあれば、半年くらい病院に通院しないといけないような重い打撲もあります。

そこで、「打撲」や「捻挫」のようなケガの場合には「病院で治療をするときに、どの程度の治療日数が必要であったか」ということをもって、ケガの大きさを計測することになるのです。

このように時系列表から多くのことが分かる

さて、今回のテーマは、交通事故について語るということではなく、弁護士に相談するときに、どうすれば上手に物事を伝えることができるか、ということでした。

今まで書きましたように、「時系列表」をつくることで、物事の時間的な順序が、かなり分かってきます。

ですので、弁護士に相談をしたいという場合には、簡単なメモ程度でよいので、「時系列表」をつくることをオススメします。

 

この記事を書いた人

yoshida

香川県高松市の弁護士 吉田泰郎法律事務所です。JR高松駅徒歩5分。あなたが話しやすい弁護士をめざしています。

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