司法試験に合格したあと,弁護士,検察官,裁判官のいずれかへの進路を決定するまで,司法修習生となります。
司法修習という制度は,アメリカの制度を参考にしたものです。
太平洋戦争が終わってから新規に第1期生から始まり,それから53年後,私たちの時代には第53期生でした。
1クラス60人程度で,全部で12組までありました。
私は11組でした。クラスの大半は20代でしたが,何人か年配の方々がいらっしゃいました。
最初のクラス飲み会で,隣の席の年配の方に話を聞いてみると
「昨年まで日本銀行で人事部長をしていたが,上に納得できなかったので辞めて司法研修所に来た」
という方でした。
そのころ,私は世間知らずだったので,
「えーと…日本,と言っても銀行はいくつかありますが,どの銀行ですか?」
と聞くと,
「どの銀行,というか,日本銀行です。」
との回答でした。
もちろん,日本の中央銀行である日本銀行のことでした。
また,お隣のクラスには大物がいました。
そのころ,大蔵省(現財務省)が接待疑惑で揺れていた時期で,「接待王」と新聞で叩かれていた,
大蔵省証券局長のNさんという方が官を辞職して司法研修所に入所していました。
マスコミではすごく叩かれていましたが,人柄は気さくで,親しみやすく,感じのいい方でした。
このように,数年間受験勉強に没頭していた世間知らずから,一気に広い世界に接するようになったのが司法修習時代です。
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