恐怖の二回試験 ‥司法修習生最後の難関
回答: 「恐怖の二回試験」と呼ばれることの多い,いわゆる二回試験とは、正式名称を「司法修習生考試」といいます。
司法修習の最後の関門であり、卒業試験のようなものです。
例年、11月の中旬から下旬に、民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の各科目について一日一科目で計5日間にわたって行われる試験です。
5日間にわたって,膨大な量の書面を書きまくることになります。
修習中に勉強した成果をすべて結集しておこなう最終決戦です。
ホテルを予約した方がよい
試験会場は、西日本では大阪,東日本では和光の司法研修所でおこなわれます。
大阪の場合には,梅田の新梅田研修センターでおこなわれることが多いです。
ですので、地方の修習生はホテルの予約を迫られることが多いです。
貸与制に移行して金銭的にも大変ですが、電車は遅延等のリスクがあるので会場の近くにホテルをとる修習生が多かったように思います。
二回試験は、司法試験同様、時間がタイトなので、電車の遅延等のリスクを考えるとホテルを取ることが無難なのではないかと思います。
私が,司法研修所に
「もしも,電車が遅れるなど,やむをえない事情で試験時間に遅れた場合には,どうなるのですか?」
という問い合わせをしたときには,直接には回答はなく,担当の事務方から
「安心を買ってください」
と言われました。
つまり,「ホテル代を支出してホテルに泊まりなさい」ということのようです。
電車が遅れて試験時間に遅刻した場合でも,一発不合格になる可能性がある,ということのようです。
何枚か重ね着をした方がよい
寒い時期ですが、司法試験とは異なり、会場に着いても試験時間ぎりぎりまで試験会場には入れません。
ロビー等で待たされることになります。
ですので,暖かい服装をして試験会場に行くのが,のぞましいです。
新梅田研修センターのまわりは,鉄道と車道ばかりで,喫茶店もありません。
外は寒いのですが,会場内は暑くなります。
とくに,試験が始まってからは,熱気がこもるので,汗が出てくるくらいです。
半袖で受験している人もいました。
そういうふうに,一日の間で,温度変化がはげしいので、体温調整がしやすいように重ね着をするのが,のぞましいでしょう。
服装については、特に決まりはありません。概ね、7~8割程度がスーツ、そのほかの受験生は私服で受験していたように思います。
二回試験の評価について
試験の評価についてですが、例年9割以上が合格するようです。
平成24年ですと、2126名が受験し、2080人が合格しました。
不合格者は46人で、受験者に占める割合は2.2%でした。
不合格者は、次年度の二回試験を受けることになります。
試験問題は、修習中の起案と同じく、各科目100ページ前後の実際にあった事件を元にした記録を用いた起案です。
試験時間について
試験時間は、10時20分から17時50分までで、途中12時から13時まで昼食休憩がありますが、席を立つことはできず、昼食中も起案をして良いので、ほとんどの受験生が昼食を片手に、もう一方の手にはペンを握りしめて起案をしながら昼食を摂ります。
試験時間は、昼食時間も含めると7時間30分と長時間ですが、多くの受験生にとっては時間に余裕はありません。
なお、途中答案に対する評価は司法試験よりもかなり厳しいです。
そして、修習中の他の起案もそうですが、答案用紙には二つの穴が開いており、これを試験時間内に紐で綴らなければならず、試験終了の宣言後に答案用紙を綴れていないと、それだけで一発不合格となります。
司法試験ではたまに試験終了の宣言後も答案を書く人が散見されますが、二回試験ではそのような行為も一発不合格の対象となり、厳しく監視されます。
合格発表について
なお、二回試験の結果発表は、不合格者の番号のみが司法研修所のみに掲示され、後日結果が郵送されてくるという独特なものです。
概ね、二回試験の結果発表の翌々日が弁護士の一斉登録日となっており、この日から執務を開始する人が多いので、結果発表をいち早く知る必要があります。
しかし、司法試験のように各地で掲示されたり、インターネットで発表されたりすることはありません。
加えて、番号の掲示は写真撮影が禁止されていますので、発表日に番号を知るには、原則として司法研修所まで出向くか、発表を見に行く友人等に見てきてもらうことになります。
修習地と勤務地が離れていて引越しが必要な場合、結果発表を待たずに引越しをする必要があります。
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