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「共同」「合同」の使い方?

【注意】本記事において事務所の名称についてさまざまな評価をしていますが特定の事務所の名前に否定的な評価をする意図は全くありません。

法律事務所の名前の中には、「総合」以外に「共同」「合同」「中央」という名称を使っているものもある。
これらの名称は、どういう意味があるのだろうか?
一般に、「合同」「共同」という名称の場合には、対等のパートナー同士が事務所の場所だけを一緒にしている事務所ですということを意味するものである。

「共同」という名称の使い方
一般には、「共同」という名称の場合には、弁護士2人のパートナー関係がある場合をイメージする。
たとえば、
吉田・高橋共同法律事務所(仮称)
すもも共同法律事務所(仮称)
のような使い方をする。

したがって、弁護士一人事務所なのに「共同」を使うのはおかしいので、そういう使い方はしないようにしよう。

吉田共同法律事務所(仮称)
という名称は、なんだかおかしい。

「合同」という名称の使い方
「合同」という名称は、パートナーの弁護士が3人以上の場合に使うことがある。

吉田・高橋・佐藤合同法律事務所(仮称)
ピーチ合同法律事務所(仮称)
のような使い方をする。

パートナー弁護士が3人以上の場合なので、必然的に事務所全体の規模としては大きめの事務所となることが多い。

アソシエイト弁護士、事務員を含めれば10人以上の事務所であることが多いと思われる。

ところで、当然、パートナー弁護士が3人以上であれば誰でも「合同」を使うわけではない。
通常、「合同」という名称を使うときには、パートナー弁護士が、それぞれ、別々に経営をおこなっており、財政面でも別々にやっている、経費共同法律事務所である、というイメージであることが多い。
それは、別の表現を使えば「バラバラである」ということでもあります。

昔は、弁護士は自由業であり、たとえ3人や4人で事務所をつくっていたとしても、そこには上下関係はなく、それぞれの弁護士が自由に活動するべきである、という風潮がありました。

そういう時代には「合同」という名称は、ひとつの事務所であっても、それぞれの弁護士に主体性があるのだ、というプラスイメージがあったと思います。

なんとなくの印象論ですが、「合同」は、1970年代や1980年代というような、弁護士の古き良き時代に多く使われていたように思います。

最近は、あまり「合同」という名称は見ません。

これはやはり、弁護士の事務所も、ひとつにまとまって「経営」的に統一行動をしないといけないという意識が強まってきたのではないか、そういう時代にあっては「合同」という名称のイメージが「自由独立」ではなく「バラバラ」という悪いイメージでとらえられることが増えてきたのではないか、と思うところです。

あくまで吉田の私見ですが。

「中央」という名称の使い方

「中央」という名称は、自分が中心であるという主張をする名称であるので、周囲からは、やや侵略者的な目で見られる可能性がある名称である。

たとえば、同じ香川県内に
香川共同法律事務所
という名称の法律事務所があっても、
「ああ、香川県で、弁護士2人で共同でやっている事務所なんだな」
というふうに、「他人事」として受け止めることができるが、これが
香川中央法律事務所
という名称の法律事務所があると、
「あいつが香川の中央だとすれば、オレはなんなのだ?香川の辺境か?」
というふうに思われてしまうであろう。
その意味では「中央」という言葉には、他者に対する排他性や、他者に対する侵略性があるように思われる。

その意味では、「どぎつさ」がある名称である。

そして、「中央」という言葉は、地名とワンセットであることが多い。
つまり「どこの土地の」中央だと主張するのか?ということである。

たとえば、
香川中央法律事務所(仮称)
東京中央法律事務所(仮称)
は、あり得るが
吉田中央法律事務所(仮称)
というように、人名+中央は、なんか一見、変な名前に思う。

また、
ピーチ中央法律事務所(仮称)
のように、抽象的な言葉+中央も、なんか意味が通らない。

 

なお、大阪には、中央総合法律事務所という名称の法律事務所がある。この事務所は、日弁連会長も出している名門法律事務所だ。

これくらいのグレードの事務所であれば「中央」という言葉も、しっくりくるところがあるのだろう。

 

「第一」という名称の使い方

「中央」と似た言葉に「第一」という言葉がある。
これも、自分が「第一」だと主張しているわけであるから、他者に対する侵略的な意味合いがあるが、なんとなく「中央」ほどには侵略性を感じない。
というのは、「どういう意味で第一なのか?」という点が、ぼんやりしているところがあるからだと思われる。

そういうわけで、「中央」よりも他者に対する侵略性は薄いが、それは一方でメッセージ性も薄いということでもる。

 

これも、地名+第一という使用例が多い。

人名+第一は変だと思う。
というのは、通常、人の名前は唯一無二のものであるから、人名について第一も第二もないであろうと思われるからだ。

ただ、抽象的な言葉+第一は、あり得るように思う。

たとえば、
朝日第一法律事務所(仮称)
のぞみ第一法律事務所(仮称)
という名前は、変ではないと思う。

たとえば、地元に、すでに既存の事務所として
香川法律事務所(仮称)
という名称の法律事務所があったとすれば、自分が「香川」という名称をどうしても使いたい場合には、
香川第一法律事務所(仮称)
という法律事務所をつくることもできる

一般ユーザーの視点から見れば、
「たんなる香川法律事務所よりも、香川第一法律事務所の方が、第一がついている分、メジャーなのではないか?」
というふうにも思われるかもしれない。