取引上のトラブルを理解するための用語 …… 法律用語集
履行遅滞,履行不能,定期行為,善管注意義
質問4)「履行遅滞(りこうちたい)」とは履行のどのような状態ですか?
回答
履行遅滞とは、履行期に履行することが可能でありながら、履行期限を過ぎても履行しないことです。
またその際に債務者に帰責事由があることが必要です。
履行の期限については、期限の設定方法により異なります。
確定期限を定めた場合には、期限の到来したときから成立します。
不確定期限を定めた場合には、その期限の到来を債権者が知った時から成立します。
期限を設けなかった場合には、履行の請求を受けた時から成立します。
質問5)「履行不能(りこうふのう)」とは履行のどのような状態ですか?
回答
履行不能とは、債務成立後に債務の履行が不可能になることで、債務者に帰責事由があると認められる場合のことです。
破損などで物理的に履行が不可能となるほか、土地の二重登録のように、法制上不可能になる場合などもあります。
履行不能が成立する時期は、物理上、事実上履行が不可能になった時点からです。
質問6)「定期行為(ていきこうい)」とはどのような行為ですか?
回答
定期行為とは、契約の性質や当事者同士の約束事によって決められた期間内に履行が果たされなければ、その契約自体が無意味となってしまうようなことをいいます。
結婚式にために注文した衣装などは、その結婚式という期日を過ると契約の目的を果たすことができません。
このような定期行為に履行がされなかった場合には、催告をすることなく契約を解除することが可能です。
質問7)「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」とはどのような義務ですか?
回答
善管注意義務とは、民法の第400条に規定されている、「善良なる管理者の注意義務」のことです。
債務者の職業や社会的な地位によって、一般的に期待されている注意義務のことをいい、それを怠ったと判断された場合には、債務不履行責任を問われることになります。
善管注意義務よりも程度の軽い注意義務が規定されている箇所もあり、無償で物品の保管を引き受ける場合や、親権者がその子の財産を管理する場合に要求されています。