不公正または不正な取引を理解するための用語 …… 法律用語集
事業活動の不当拘束,取引妨害
質問36)「事業活動の不当拘束(じぎょうかつどうのふとうこうそく)」について教えてください。
回答
事業活動の不当拘束とは、不当に競争相手の事業活動を拘束する条件をもって、取引することを指します。
これらの行為は事業者同士で商品をめぐる自由な競争をすることができなくなるため、独占禁止法2条9項5号ニなどで禁止されている行為です。
具体的には、再販売価格の拘束、排他条件付取引等が事業活動の不当拘束に該当すると言えます。
再販売価格の拘束とは、例えばメーカーが指定した価格で販売しない小売業者等に対し、卸価格を吊り上げたり出荷を停止したりなどの不当な行為をし、小売業者等に指定した価格を守らせること等を指します。
このようなケースでメーカーが小売業者よりも強い立場にいる場合には、小売業者はメーカーの決定に従わざるを得ません。
また排他条件付取引とは、取引の相手方が競争者と取引をしないことを条件として、相手方と取引をし、競争者同士の取引の機会を減らし自由な競争をすることができなくなるおそれがある行為等のことを指します。
質問37)「取引妨害(とりひきぼうがい)」とはどんな行為のことですか。
回答
取引妨害とは、独占禁止法上不当に競争関係にある事業者等に対して、その取引を妨害することを意味しています。
これらの行為は自由な競争を減少させ、公正な競争をも阻害するものであるため、独占禁止法2条9項6号において禁止されている行為です。
例えば事業者が競争関係にある他の事業者に対して脅迫や威圧、誹謗中傷等を用いて、競争関係にある事業者から契約を奪ったりする行為、これを契約の成立の阻止と言い、取引妨害の行為に当たります。
また競争関係にある事業者の相手方に不当な利益を提供し、契約を奪ったりすることなどの行為、これを契約の不履行の誘引と言い、これらの行為も取引妨害の行為に当たります。
他にもメーカー系列の保守管理事業者が、競争関係にある事業者に対して、修理部品の供給の拒絶や遅延させるなどの行為を行った場合なども取引妨害の行為に当たると言えます。
これらの行為は行為用件として、極めて広範な規定であるため、十分に吟味し、要件の該当性を判断する必要があると考えられます。
他にも不当な取引妨害の一種に並行輸入の妨害が挙げられます。