不法行為と責任を理解するための用語 …… 法律用語集
過失相殺,損益相殺,逸失利益
質問5)「過失相殺(かしつそうさい)」って何ですか?
回答
債務不履行や不法行為により損害賠償責任が生じるケースにはさまざまなパターンがあります。
100%加害者が悪いというケースも勿論ありますが、中には被害者や債権者側にも過失があると認められるケースもあるのです。
例えば車の事故というのは常にどちらかが一方的に悪いわけではありません。
双方の不注意により起こってしまう事故もあります。
そのようなケースの時、加害者側だけが賠償を負わされるのはフェアではありませんよね。
事故による損害を双方が公平に負担するために、被害者側にも過失があったと認められた場合には、その過失の度合いに応じて、加害者の損害賠償額を減額できるという制度が過失相殺になります。
質問6)「損益相殺(そんえきそうさい)」について知りたいです。
回答
明文の規定はありませんが、加害者と被害者の公平の観点から認められているのが損益相殺です。
債務不履行や不法行為によって損害を受けた被害者やその相続人が、損害と同時に利益を得た時、その利益分を損害から控除して損害賠償額を決めることを損益相殺といいます。
つまり、不法行為などによって損害を受けた被害者の保障が、過剰になってしまうことを防ぐために認められているのです。
損益相殺の対象となるものには、自賠責保険金、政府保障事業による補填金、労災保険や健保などの給付が決定した各種社会保険給付金などです。
逆に生命保険や自損事故保険など損益相殺の対象にならないものも多数あります。
質問7)「逸失利益(いっしつりえき)」とはどのような利益ですか?
回答
不法行為や債務不履行などによる損害がなければ、本来入手できていたであろう利益のことを逸失利益といいます。
毎日熱心に働いていたサラリーマンがある日突然交通事故に巻き込まれてしまい、何らかの原因で働く事ができなくなってしまったとします。
当然そうなったら事故以前に得ていた収入は得られなくなってしまいますよね。
そのようにして得られなくなってしまった額が逸失利益です。
ただしこの逸失利益は、被害者の職業、生活スタイル、性格などにより異なるため、確定するのが非常に困難となっています。