債権回収を理解するための用語 …… 法律用語集
債権者取消権,代理受領,供託
質問27)「債権者取消権(さいけんしゃとりけしけん)」とはどのような権利ですか?
回答
民法424条では、債権者は、債務者が債権者を害すると知って行った法律行為の取消を裁判所に請求することができるとしています。
これを債権者取消権といい、詐害行為取消権とも呼ばれます。
債権者取消権は、債務者の一般財産を保全するために認められたものです。
債権者取消権を行使できる要件としては、詐害行為がなされる以前に被保全債権が成立していること、債務者が無資力であること、債務者による詐害行為が財産権を目的とするものであること、債務者や受益者に詐害の意思があることなどとなっています。
債権者取消権を行使するには、裁判所に取消を請求する必要があり、抗弁による方法は許されていません。
その効果としては、債権者と受益者または転得者との間で法律行為を無効にする、相対的無効となります。
取消権の時効は、債権者が取消の原因を知った時から2年、債務者の行為から20年となっています。
質問28)「代理受領(だいりじゅりょう)」について教えてください。
回答
代理受領とは、債権担保の方法のひとつで、債権者が債務者に融資を行う際、債務者が第三債務者に対して有する金銭債権の取り立てを債権者に委任し、債権者は第三債務者から受領した金銭をもって融資債権の弁済に充当することをいいます。
代理受領は、工事請負代金などのような債権譲渡や質入れを禁ずる特約がある場合や、債務者や第三債務者が債権譲渡を嫌う場合などに多く用いられる方法となっています。
代理受領の手続きは、債権者に債務者が弁済受領権限を与える旨の代理受領委任契約書を作成したうえで、双方がこれに合意し、第三債務者の承認を得たうえで行われます。
質問29)「供託(きょうたく)」について教えてください。
回答
供託とは、金銭や有価証券、物品などを供託所などの供託機関(法務局)に寄託することです。
民法第494条では、債権者が弁済の受領を拒み、またはこれを受領することができないときは、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができるとしています。
供託には、弁済者が弁済の目的物を債権者のために供託書に寄託して、債務を免れるためにする弁済供託、損害賠償を担保するために行われる担保供託、強制執行の一環として行われる執行供託などがあります。