強制執行・保全を理解するための用語 …… 法律用語集
執行文,管理命令,強制管理
質問8)「執行文(しっこうぶん)」とはどのようなものですか?
回答
執行文とは、請求権の存在を公証する債務名義について、執行力とその内容を公証する文章であり、債務名義の正本の末尾に付記されるものです。
執行文は、債務名義と同様に、強制執行の要件となっています。
執行文が必要とされるのは、請求権の存在を決定する受訴裁判所と、強制執行を行う執行裁判所が違うため、強制執行にあたりその権利を証明する必要があるからです。
民事執行法第26条では、執行証書以外の債務名義には事件の記録の存する裁判所書記官が、執行証書にはその原本を保持する公証人が、それぞれ執行文を付与するものとしています。
質問9)「管理命令(かんりめいれい)」とはどのような命令ですか?
回答
強制執行によって差し押さえられた債権が、条件付や期限付、継続的給付を目的とするなどによって直ちに換価できない場合、執行裁判所によって管理人が選任され、その債権を管理するよう命令がなされることを管理命令といいます。
条件付や期限付、反対給付に係るものなど、債権の取立が困難な場合、管理命令のほかに、被差押債権を執行裁判所が決めた価額で支払いに代える譲渡命令や、執行裁判所の定める方法で執行官に売却を命じる売却命令といった特別な換価方法をとることになります。
質問10)「強制管理(きょうせいかんり)」について教えてください。
回答
民事執行法第43条は、不動産に対する強制執行は、強制競売または強制管理の方法によって行い、またこれらの方法を併用することができるとしています。
強制管理とは、差し押さえた不動産を売却せず、執行裁判所によって選任された管理人に使用収益させ、その収益を金銭債権に充当する手続きです(同法第93条)。
強制管理の対象となるのは、不動産の共有持分、登記された地上権及び永小作権とその共有持分といった不動産です。