強制執行・保全を理解するための用語 …… 法律用語集
二重開始決定,配当要求,保証金,保全命令,保全執行
質問14)「二重開始決定(にじゅうかいしけってい)」とはどのような決定ですか?
回答
強制競売または担保権の実行としての競売の開始決定がされた不動産について、後に強制競売の申立てがあった場合、執行裁判所がさらに強制競売の開始決定を行うことを二重開始決定といいます(民事執行法第47条)。
先行する強制競売が取り下げなどによって終了または停止された場合、二重開始の決定がなされた競売の手続きが続行されることになります。
質問15)「配当要求(はいとうようきゅう)」とはどのようなものですか?
回答
強制執行手続きの始まっている差押財産について、差押債権者以外の債権者が自らの債権の弁済を求めることを配当要求といい、民事執行法第51条によって認められています。
配当要求することができるのは、強制執行を実施できる債務名義の正本を有する債権者、強制競売開始決定に係る差押の登記後に登記された仮差押債権者、同法第181条にある文書により一般の先取特権を有することを証明した債権者となっています。
質問16)強制競売における「保証金(ほしょうきん)」とは、どのようなものですか?
回答
強制競売などで入札に参加する者は、保証金として、売却基準価額の2割を納める必要があります。
保証金は落札できなかった場合には返還され、買受人となった場合には代金の一部に充てられます。
また、落札後、期日までに残金の支払いを行わなければ、没収となります。
質問17)「保全命令(ほぜんめいれい)」について教えてください。
回答
保全命令とは、仮差押命令と仮処分命令の総称です。
保全命令は申立てによって裁判所が実施するものとなっています。
仮差押命令とは、金銭債権の執行を保全するため、債務者による財産の処分を制限する命令であり、仮処分命令とは、金銭債権以外の権利を保全するための命令です。
質問18)「保全執行(ほぜんしっこう)」とは何をするのですか?
回答
保全執行は裁判所や執行官が申し立てによって行うもので、強制執行の一種としてあげられます。
一般的に民事保全は2段階にわかれ、保全命令に関する手続きと保全執行に関する手続きに分かれる。
保全命令の手続きは保全命令を発すべきかを判断するものであり、保全執行の手続きは発せられた保全命令に基づいて執行するための手続きになります。
保全命令には仮差押えや仮処分があり、訴訟の目的となっているものを処分や譲渡が行われないように保全執行が行われます。