安全衛生を理解するための用語 …… 法律用語集
統括安全衛生責任者,元方安全衛生管理者
質問20)「統括安全衛生責任者(とうかつあんぜんえいせいせきにんしゃ)」について教えてください。
回答
ビルや道路の建設現場などでは、一般的に元請業者が仕事を請け負い、その一部の仕事を下請業者に発注します。
このような現場では、事業者の異なる元請と下請の労働者がひとつの場所で混在して作業をしますので、連絡や調整ミスにより労働災害が起こる危険性があります。
そのため運営や作業間の連絡・調整、作業場所の巡視など、統括管理を行う「統括安全衛生責任者」を選任することが義務付けられています。
選任の義務がある事業場は、「原則として建設業又は造船業で、下請も含めた労働者数が常時50人以上」とされていますが、「ずい道等建設や一定の橋梁の建設、圧気工法による作業の場合は、下請等も含めた労働者数が常時30人以上」とされています。
選任されるために必要な資格等はありませんが、その場所の事業の実施を統括管理する者を充てることとされています。
質問21)「元方安全衛生管理者(もとかたあんぜんえいせいかんりしゃ)」について教えてください。
回答
労働安全衛生法第15条の2により、統括安全衛生責任者を選任した現場のうち建設業を行う現場は「元方安全衛生管理者」を選任しなくてはなりません。
元方安全衛生管理者の職務は、協議組織の設置・運営や作業間の連絡・調整、作業場所の巡視、労働者の安全・衛生のための教育に対する指導や援助など、統括安全衛生責任者の行う業務の技術的事項を管理します。
選任基準は、事業場に専属の者で、以下の資格を満たす必要があります。
・大学、高等専門学校で理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後3年以上建設工事の施工における安全衛生の実務に従事した経験を有する者
・高等学校又は中等教育学校で理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後5年以上建設工事の施工における安全衛生の実務に従事した経験を有する者
・その他厚生労働大臣が定める者