安全衛生を理解するための用語 …… 法律用語集
面接指導,過労死
質問24)「面接指導(めんせつしどう)」の意味を教えてください。
回答
脳・心臓疾患の発症が、長時間労働との関連性が強いとされる医学的知見をふまえて、すべての事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場は平成20年4月から適用)において、事業者は、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対して、医師による面接指導を行うことが義務付けられています。
対象となるのは、週40時間を超える労働が1か月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者で、該当する労働者の申出により行われます。
医師は、問診その他の方法により心身の状況を把握して、これに応じた指導を面接により行います。
労災認定された自殺事案には長時間労働であったものも多いため、面接指導の際にはうつ病等の精神疾患等の発症を予防するためメンタルヘルス面の配慮も行われます。
事業者は、面接指導を実施した医師から意見聴取を行い、適切な事後措置を実施しなければなりません。
具体的には、必要があると認められる場合には、労働者の就業場所の変更や、労働時間の短縮などの措置を講じる場合もあります。
質問25)「過労死(かろうし)」の基本的なことを教えてください。
回答
厚生労働省のマニュアルでは「過労死とは過度な労働負担が誘因となって、高血圧や動脈硬化などの基礎疾患が悪化し、脳血管疾患や虚血性心疾患、急性心不全などを発症し、永久的労働不能または死に至った状態をいう」とされていますが、厳密な法律上・医学上の定義があるわけではありません。
脳・心臓疾患は、その発症の基礎となる血管病変等(動脈硬化、動脈瘤など)が、主に加齢や生活環境や食生活や遺伝などの要因で形成されて、それが徐々に進行し、ある日突然発症するものです。
しかし、過重労働などにより血管病変等が著しく増悪したために発症する場合があります。
この場合は、仕事が有力な原因となったとして、労災補償の対象となります。
労災の認定を受けるためには、異常な出来事に遭遇したか、短期間の過重業務、長期間の過重業務がなかったか等、総合的に判断されます。