会社の役員を理解するための用語…… 法律用語集
経営判断の原則,責任限定契約,役員の責任免除
質問39)「経営判断の原則(けいえいはんだんのげんそく)」とはどういった原則ですか?
回答
取締役は常日頃から幾度となく会社の経営に対しての判断を迫られます。そして会社の経営を維持するためにさまざまな決断を行います。
経営判断の原則というのは、その取締役の判断や決断によって会社が不利益をこうむったとしても、その判断や決断に正当な理由があり、不合理ではないものであったならば、取締役に法的な責任を負わせないという原則です。
会社の経営というものは、全てが思うようにいかないものです。思いもよらぬトラブルに見舞われることもあります。取締役が慎重に入念に準備を整えて進めていた事業が、最終的に失敗に終わるということも当然あるでしょう。
そういった正しい判断を行った上での損害に対しては取締役に責任を問わないというのが経営判断の原則になります。この原則は、取締役の判断や決断を委縮させないという狙いもあります。
質問40)「責任限定契約(せきにんげんていけいやく)」とはどういった内容の契約ですか?
回答
責任限定契約は、株式会社に就任した社外取締役等の責任を限定する契約のことです。「社外取締役等」の中には、社外取締役・会計参与・社外監査役・会計監査人が含まれています。
責任を限定するというのは具体的にいうと、会社が損害賠償せねばならないような状況になった場合の責任を限定するということです。この契約を定めることで、社外取締役等の負担が軽くなり、就任しやすくなるというメリットがうまれます。
責任限定契約を締結するためには、必ず事前に定款に定めておかねばなりません。
質問41)「役員の責任免除(やくいんのせきにんめんじょ)」とは何ですか?
回答
会社の取締役は、善管注意義務違反などで会社に損害を生じさせた場合、会社に対して賠償すべき責任を負います。
しかしこの責任を免除する制度があり、その制度のことを役員の責任免除というのです。では、役員の責任免除はどのような時に適用されるのかということですが、全ての株主の同意があれば適用されます。
例えば取締役に悪意があり、重過失であった場合でも、全ての株主が免除に同意すれば役員の責任が免除されるのです。また、その逆に、総株主の同意が得られない場合でも、株主総会決議によって、一部の責任が免除されることもあります。