倒産・解散・清算を理解するための用語 …… 法律用語集
相殺権,否認権,取戻権,解散
質問40)「相殺権(そうさいけん)」とはどのような権利ですか?
回答
破産手続開始時に、破産債権者が破産者に対して債務を負担しているときには、破産手続によらず、相殺することができる権利を相殺権といいます(破産法67条)。
本来、破産債権者は破産手続によってのみ、その債権を行使できるものとされています。
しかし、債権については破産財団を通じて他の債権者と平等の弁済しか受けられないのに対して、債務については破産財団に対して全額弁済しなければならないといった不均衡が生じる場合があります。
こうした不均衡を避けるため、相殺権を行使することが認められています。
質問41)「否認権(ひにんけん)」とはどのような権利ですか?
回答
破産者による破産債権者を害するような行為を破産管財人が否認し、財産を破産財団に回復する権利のことを否認権といいます(破産法160条)。
破産宣告により、破産者は破産財団についての管理処分権を失いますが、それ以前に財産を処分することは原則自由です。
しかし破産者によって財産が不当に処分されるなど、債権者全体を害する行為があった場合には否認権が認められます。
質問42)「取戻権(とりもどしけん)」とはどのような権利ですか?
回答
破産者の財産に第三者の財産が含まれている場合、第三者は破産管財人に対して、その返還等を請求する権利があり、これを取戻権といいます(破産法62条)。
取戻権には、ほかに代償的取戻権があり、破産者や破産管財人が第三者の財産を譲り渡してしまった場合、第三者はその代金債権に対する権利を行使することができます。
質問43)「解散(かいさん)」の意味をくわしく教えてください。
回答
会社や社団法人、財団法人などの集団が活動をやめて消滅すること、またはその手続きに入ることを解散といいます。
株式会社の場合、以下の事由によって解散することになります(会社法471条)。
1.定款で定めた存在期間の満了
2.定款で定めた解散の事由の発生
3.株主総会の決議
4.合併(合併により消滅する場合)
5.破産手続開始の決定
6.解散命令、解散の訴えなど解散を命じる判決(同法824条、833条)
7.休眠会社のみなし解散(同法472条)
解散には一定の法的な手続きが必要な場合があります。
合併や破産手続開始決定により解散した場合以外は、会社の清算を行います(同法475条)。
清算中の会社を清算株式会社といい、清算の目的の範囲内において、法人格は存続するものとみなされます。