
ラポールをつくる
      
 
ラポールとは「相手のことを信頼している状態、のびのびと話せる状態」のことを指します。 
        また、ラポールにはフランス語で 
        「橋をかける」 
        という、詩的な意味もあります。 
私と「あなた」との間に流れる川が、二人を分断しているならば 
        その川の上に橋をかけることにより、 
        私と「あなた」は、再び出会い、話し合うことができるのです。 
そのような象徴に示されるように、 
        ラポールとは、そのままでは分断されている見知らぬ二人が話し合うことを可能にするものなのです。 
ラポールの作り方は、司法修習のときにも役に立ちますし、弁護実務についてからは、さらに、役に立ちます。 
        人生のなるべく早い段階でラポールのテクニックを知ると、その後の人生に、とても役に立ちます。 
        人間関係の技術を使うと、「ラポール=信頼関係」は、わりと簡単に作ることができます。 
1 あいづちを打つ 
        まずは、単純に、相手が話をしているときに、あいづちをうちましょう。 
        相手の話の区切りに合わせて、大きく、うなずきましょう。 
        相手の話の区切りで,うなずいていると,だんだん,相手と話のリズムがあってきます。
        単純なことですが、こういうふうに、相手と呼吸やリズムを合わせると、相手は、とても話しやすく思えるのです。 
        こういうふうに、相手と呼吸やリズムを合わせることを、 
        ペーシング 
        といいます。 
        これは、ラポールをつくるうえでの基礎技術であり、基礎であるがゆえに、とても大事なことです。 
        どれくらい大事かと言えば、 
民法総則と同じくらいに大事だ
といえば、その大事さが伝わるでしょうか。
よく、「あの人は話しやすい」 
        「あの人は聞き上手だ」 
        と言われる人は、意識してか、あるいは無意識に、このペーシングをしていることが多いのです。 
2,相手の話を繰り返す
ラポールをつくる技術2 相手の話の一部を繰り返して復唱すること 
        相手が「もー、ほんとにひどい目にあったのよ!」 
        と言えば 
        「ひどい目にあったんですねー」 
        と言う。 
        相手が、「そうなのよ、あいつは、ほんとにひどい人なのよ!」 
        といえば、 
        「ふーむ、あの人は、ほんとにひどい人なんですねー」 
        と言いましょう。 
相手が「3年も前から付き合っていたのに、恋人が浮気していたのよ。しかも、2年も前から浮気していたっていうのよ。2年間もだましていたのよ」 
        といえば、 
        「なんと、2年間もだましていたんですねー」 
        と言いましょう。 
        これは、一見すると、何をしているのか、よく分からないようですが、知っている人がみれば、これは、 
        話の聞き手が、話し手との間にラポールをつくろうとしている場面です。 
        会話の話し手は、こういうふうに、自分の話の一部を無批判に復唱してもらえると、大変に落ち着いて、機嫌よく話せるものなのです。 
こういうふうに、ラポールをつくるために、 
        1 あいづちを打つこと 
        2 相手の話の一部を繰り返すこと 
        は、弁護士として実務についてから、非常に役に立ちます。 
      
吉田などは、弁護士になって17年ほどたつわけですが、依頼者と信頼関係をつくるため、この2つの技術しか使っていない、というほどです。 
      













