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二回試験の体験記…問題文2

二回試験の問題文の続き


トラブルの発生
ところが,被告の洋菓子店本件に「生花店」三号店をオープンしてみると、いろいろと不都合が発生してきました。
最初の話では,被告の店員を「生花店」三号店の店舗のスタッフとして使ってよい,ということになっていたはずですが,オープンしてみると,被告の店員は基本的には店員は洋菓子店の仕事ばかりしており,「新しい生花店」を手伝う余裕はありませんでした。
(修習性の感想……この点は,従業員は洋菓子店の店員としての経験しかなかったわけですから,いきなり生花店の仕事を手伝えと言われても,ちょっと難しいと思うのも当然のことかもしれません)

そのため,「生花店」三号店では,オープン直後から,お店の仕事をやるスタッフが不足していました。
ですので,依頼者は,自分一人で「生花店」三号店の仕事を全部やらなければならなくなったのです。
最初の話では,依頼者は
依頼者本人は,自分の「生花店」の二号店の仕事をしていればよく,洋菓子店の方には,商品の運搬や、繁忙期に顔を出す程度でいい、
と言われていたわけですから,最初の話と実際にオープンさせた状態では,
全く「話が違う」ということだったのです。

依頼者は,このままの状態では,自分が現在経営している「生花店」二号店の経営も成り立たなくなると判断し、被告に対して状況の改善を申入れます。
その結果、一時的には洋菓子店の店員が積極的に「生花店」三号店の仕事を手伝ってくれるようになりました。
ところが,今度は,洋菓子店の店員が
「洋菓子店と生花店の両方の仕事をするなんて,大変すぎてイヤです」
といって,次々と洋菓子店を辞めていってしまったのです。

やむなく,依頼者は新たに被告が雇った新人を指導して,「生花店」三号店の仕事をやらせようとしました。
しかし,新人は,「洋菓子店」の店員として雇われた人間で,生花の知識も経験もなかったので,一から全部仕事を教えることになり,依頼者は,新人教育に多くの時間を使わなければならなくなりました。
大変な負担でした。

依頼者としては,洋菓子本店にある「生花店」三号店の方に集中すると,自分の「生花店」二号店の経営に集中できなくなります。
「生花店」二号店は、まだオープンしたばかりであり、固定客すらもつかめていなかった状況です。ですので,依頼者としては,まずは、「生花店」二号店の経営を軌道に乗せたいと考えており、何とか二号店の経営にチカラを入れようとしていました。
そこで、依頼者は、二号店でブーケ等の製作を行い、できあがったブーケを被告店舗にもっていき、販売を被告従業員任せる、という方法を採用しました。
ところが、この方法を行うためには、新たに、被告店舗内に依頼者の商品を保管するケース等が必要でした。こういったものを購入するために、依頼者は更に出費をしなければなりませんでした。

依頼者は,今現在は,「生花店」の二号店と三号店の経営が大変で,てんてこ舞いをしている状況ですが,
被告が2つめのビルを建設すれば,「生花店」三号店は終了することになる予定だったので,2つめのビルが完成するまでの間だけの我慢だと思っていました。しかしながら,被告のおこなっているビル建設工事は、1号棟が完成した以降、2号棟の建設工事が,なかなか進みません。
被告に「2号棟の建設工事はどうなっているのか?」と問い合わせても、被告からは,今検討中、といったような返事しかもらえない状況が続きます。

法律問題の発生
そのような状況の中、突然,被告から依頼者に対して業務委託契約の解除が通知されます。
依頼者としては,あまりに突然の変化に,驚きました。
依頼者としては,もともと売上があがっていた「生花店」一号店を閉鎖してまで,「生花店」三号店を無理してがんばって経営していたのに,突然,三号店からも放り出される,ということになりますから,納得がいかないのも当然のことです。

被告の言い分としては,業務委託契約の解除の理由は
●生花店三号店の売上が,被告が期待したほどには上がっていなかったこと
●被告の会社も売上が最近不調であり,依頼者と契約する余裕がない、というようなものでした。

このタイミングで,依頼者が,弁護士に「なんとかしてほしい」と依頼しにきた、というのが今回の問題です。

具体的には,「契約解除」という通知がされたことに対して,今すぐ契約解除しなければならないのか?
一方的な契約解除をされると,依頼者は大きな損害をうけることになるが,被告に対して損害賠償請求が,どの程度できるのか?
という点について,考えないといけません。

問題文には,依頼者の話を踏まえたうえで,ボス弁とイソ弁の会話が引用されていました。
そこには,こういった事例について、業務委託契約の形式の契約であっても,賃貸借契約と見なして事件を処理する、という内容の裁判例(判例)が引用されていました。

起案の条件

最終準備書面案はもちろん起案する必要がありますが、今回はそれ以外にも訴状の起案が要求されていました。
普段の「問題研究起案」でも一度、最終準備書面案だけでなく訴状を起案する課題が出されたことがありました。
そのときに,最終準備書面+訴状,という起案条件の場合には,時間が圧倒的に足りないことを経験していました。
ですので,今回の二回試験のときには,大多数の修習生が
「時間が不足する可能性が高い」
ということを意識して,起案に取り組んでいたと思います。

また,今回の起案では,依頼者側から法的主張をおこなうときに,法律構成をどうするのか、ということについて悩みました。
依頼者としては,「生花店」三号店から突然に出て行けと言われても困るので,
「賃貸借契約にしたがって,賃料をきちんと支払っているのだから貸主の勝手な事情で追い出すことはできない」
と主張したいところです。
しかし,依頼者と被告との間の契約の形式は賃貸借契約ではないのです。
ですので,「賃貸借契約があると主張したいが,契約の形式が賃貸借契約ではない」という場合に,どうやって依頼者の権利を守るのか,という争点が中心になると思われました。

逆に,賃貸借契約ではない,という前提に立って起案することもできると思います。
業務委託契約や継続的取引契約と理解したうえで,勝手に解除できない性質の契約である,という主張も考えられるところでした。
ただ,継続的取引というには取引開始からの年月が短いので,法的に解除が制限できるのかどうか,という悩みもありました。

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