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二回試験の体験記…答案構成2

  (……前頁につづき)二回試験の問題文に対して,実際の受験者が,どのように考えて答案構成をしていったか,ということを解説します。

最終準備書面と訴状の書き分け
 最終準備書面と訴状の両方の起案をもとめられていました。
そこで,その2つの書面の書き分けに悩みました。
同一の事件についての書面ですから,極端にいえば,全く同じ内容の書面となってしまう可能性もあります。
 問題研究の際の民事弁護教官は,
「訴状の記載は基本的には必要最小限度のものを書く。
また,要件事実を意識した構成をしなければならない」
という解説をしていたと記憶していました。
ですので,
訴状では,なるべく,要件事実に沿って,余計なことを書かないように,必要最小限度の事実を書く
最終準備書面では,具体的な事実を全部拾って,詳しく,説得力が出るように分量をいっぱい書く
という書き分けをしました。

 

損害論の悩み
答案構成の段階で、法律構成と共に悩んだのは損害論でした。
通常損害・特別損害という概念は理解しています。
おそらく,依頼者が受けたと主張している損害のうち,
「被告が事前に予見できる可能性があったか,なかったか」
という基準で判断すればいいのでしょう。
ただ,それは,あくまで,裁判官の視点です。

今回の起案は,民事弁護起案ですから,依頼者の権利を最大限に主張するためには,どうしたらよいのか,という視点で考えないといけません。
問題文では、依頼者からは「取れるものは全部取ってくれ」という希望が記されています。
ですから,「ちょっと難しいかなあ」という損害の主張であっても,可能性がゼロではないかぎり,弁護士としては主張するべきだと思うのです。
ただ,「主張しても,可能性はほとんどゼロだろう」という主張について,あえて主張するのかどうかは,難しいところです。
「主張するだけならタダなんだから」
と,腹をくくってしまって,なんでもかんでも全て主張するのも,ひとつの考えではあります。

私の場合は、
依頼者が「生花店」三号店のために準備した機材等の費用、
「生花店」一号店を閉めたことによる逸失利益、
「生花店」二号店の経営に使う時間がなかったために、発生した二号店の逸失利益、
「生花店」二号店に依頼者が常駐することができなかったために必要となった、二号店の冷房施設など、
考えられるすべての損害を通常損害・特別損害にかき分けた上、検討することとしました。

 

時間の使い方
今回の事件記録には,尋問調書なども含まれていたため、ふつうに読み進めるだけでも意外と時間がかかりました。
また,私の場合は、事件記録に付箋を貼る際に、付箋を貼っているのはなぜなのか、そのポイントを一言書き込んで貼っていくスタイルのため、問題文を一通り読み終えるまでに2時間弱の時間が必要でした。
いったん読み終えたうえで,付箋部分を中心に重要と思われる事実をピックアップし、答案構成のどこに書くかを考えていたら,もう昼ごはんの時間になっていました。
私は、昼ごはん中は、ペンは持たない主義です。
ですから,昼ごはんを食べながら,頭のなかで,再度法律構成をチェックすることにしました。
本当に賃貸借契約といえるのかは非常に疑問ではありましたが、問題文で判例が示されている以上、これは問題文による誘導であると素直にとらえることとして、基本的には、最初に決めた答案構成通り書き進めました。
最終的には終了時間の40分前までに全部書き終えました。
残り時間を使って,答案の見直し,誤字脱字のチェックをしました。

 見直しの中で大きなミスはありませんでしたが、最後のひもを閉じるまではやはり独特の緊張感があります。

他のクラスでは,終了時間の瞬間に,起案用紙にひもを通しただけで終わり,ひもを完全に結ぶことができなかった受験者がいたようです。

そのクラスでは,「起案の用紙のひもが結ばれているのか,結ばれていないのか」の判断がされるまで,30分以上、留め置かれたクラスもあったようです。

当事者の受験者は,その間,生きた心地がしなかったのではないでしょうか。

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