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「総合」を付けるか?

【注意】本記事において事務所の名称についてさまざまな評価をしていますが特定の事務所の名前に否定的な評価をする意図は全くありません。

事務所名に「総合」を付けるのはどうか?

たとえば、吉田総合法律事務所(仮称)のように、法律事務所の名前に「総合」を付ける何かメリットがあるだろうか?

メリット1 メジャー感をある程度打ち出せる?

メリットとしては、「総合法律事務所」という名乗りを出すことで、 メジャー感 を演出できるかどうか?という気がする。

たしかに、弁護士の人数が多い事務所で「〇〇総合法律事務所」という名称だと、なんでも対応できるような、すごい法律事務所、という印象は打ち出せるかもしれない。

ただ、「〇〇総合法律事務所」という名乗りは、法律事務所に限らず、けっこう多いので、「総合」というひと言を付けるだけでメジャー感を感じてくれるかどうかというと、疑問である。

メリット2 既存の法律事務所名とのカブリを回避できる

たとえば、自分が「香川」という名称を法律事務所名に使用したいにもかかわらず、すでに 香川法律事務所(仮称) とい名称の法律事務所がすでにあるとしたら、全く同じ名称の法律事務所名を使用することはできない。

弁護士会の規則で「全く同じ名前の事務所名の使用」は禁じられているからだ。

そこで「香川」の下に総合を付けることで 香川総合法律事務所 という、別の名称にすれば、「香川」を法律事務所名に使用することができる。

有名な地名、たとえば、「大阪」「梅田」「東京」「銀座」などの地名については、「総合」や「中央」「新~」という言葉を追加することで、「既存の事務所とは別の事務所名です」としている事例が多い。

デメリット1 名前が長くなる

吉田総合法律事務所(仮称)くらいなら、まだいいかもしれないが、

高松寿町吉田総合法律事務所(仮称)

のように、息継ぎが必要なくらいに名前が長くなってくると、名前を言うことに対してストレスが発生する。

弁護士にとってもストレスだが、顧客にとってもストレスとなる。

したがって、あまり意味もなく事務所の名前を長くして発音しにくくすることについては疑問がある。

デメリット2 「総合」と付けて一人事務所だと少々恥ずかしい

「総合」という言葉を使うからには、通常、それなりの事務所の規模であることが多い。

弁護士が一人の事務所であっても、「総合」を付けて、吉田総合法律事務所(仮称)というような使い方をすることは規則には違反しない。

ただ、やはり、弁護士一人事務所で「総合」を付けていると、

無理して強がっている

一人なのに気負っている(笑)

というふうに見られてしまう。

これはしょうがないことだ。

もちろん、全ての事務所は最初は弁護士一人事務所から始まるのであるから、数年後を見越して、ビッグになることを想定して、最初から「総合」を名称につけておくのは、考え方としては一理ある。

したがって、少なくとも3年以内には弁護士複数の事務所まで育てるというビジョンがあるのであれば、最初から「総合」を事務所名に付けてもよいと考える。

ただ、その逆に、ずっと一人事務所でやっていく予定であるにもかかわらず「総合」を付けるというのは、なんとなく、「総合」という言葉のメジャー感だけを利用しているように思われる。

そういう、実体と合わない「総合」という言葉の使い方は、私であれば、やらないと思う。

「総合」か?「綜合」か?

ところで、「総合」ではなく、吉田綜合法律事務所(仮称)のように、 綜合 という漢字を使用している法律事務所もある。

「総合」と「綜合」とでは、どちらが正しいのだろうか?

じつは、法的には、どちらも正しい。

ただ、歴史的には、「綜合」を使うことが正しいとされていた。

太平洋戦争後に、日常的に使用する漢字の数を制限したときに、「綜」は難しい漢字であるとして、公的な場では使用されないことになった。

そこで、従来は「綜合」と言っていた漢字は「総合」に置き換えられて使用されることになった。

ただ、戦前から「綜合」を使っていた会社は、そのまま社名を変更せずに今日でも「綜合」を使っている例が多い。

そういう歴史的な事情があるので、今日でも「綜合」が本来の漢字であり、「総合」は代用品に過ぎない、として「綜合」を使用する法律事務所がある。

これは、好みの問題なので、どちらが正しいという問題ではない。

ただ、あくまで吉田の考えでは、一般ユーザーからすれは、「総合」の方が、一読して意味がわかると思うので、使うのであれば「総合」を使う。

「綜合」をあえて使った場合、一般ユーザーの、よくありそうな反応としては

「読めません」

という反応があり得る。

また、ひょっとしたら

「あの事務所、総合と書こうとして、文字を間違えて綜合とか書いちゃってる。ぷー、くすくす」 と、笑われてしまうかもしれない。

もちろん、「本来は」綜合が正しい漢字とされていたということは理解するが、言葉というものは時代とともに変わっていくものなので、あまり昔のことにこだわるのもどうかと思うところではある。

結論

あくまで吉田の意見であるが、事務所名に「総合」を付けるか否かという点については、「総合を付けない」と結論づけたい。

また、もしも付ける場合に「総合」か「綜合」かという点については、「総合」を選ぶ。