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就活活動マニュアルを作った弁護士の事務所をチェックしよう。

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事務所選びの要点

事務所選びの要点

以下は、いずれも、司法修習生を修了し、新人弁護士となった、同期である、A男くん、B子さん、C輔くん、の証言です。
3人の証言を聞くと、誰が入った事務所が「事務所選びの成功例」で、
誰が入った事務所が「事務所選びの失敗例」だと思うでしょうか?

A男くんの証言
「うちの事務所に入ったのは失敗だったなあ。
なんか、仕事が多いから、家に帰ると10時過ぎてるし。
何回、起案を出しても、ボスは添削して訂正を要求してくるから、仕事がすすまない。
訴訟事件が多くて裁判所に行ってる時間が多いから、仕事が中断するから効率が悪い。
大手の事務所より給料が低いし。
あと、なんか、事務所の飲み会が多いのが微妙だな。
同期と飲んでる方が楽しいんだけど。」

 

B子さんの証言
「あたしは、まあ、悪くない事務所に入ったかな、という感じ。
弁護士会の委員会活動には干渉されないし。
趣味のラクロスを土日にやるくらいの時間はつくれるわ。
平日の仕事は忙しいけど、事務所の食事会や飲み会のイベントが多いんで和気あいあいとしているのが楽しいわ。
事務員の女の子とは仲がいいから仕事もしやすいし。
ただ、先輩弁護士と事件の方針が合わないことがあるのよね。
給料は、まあ、相場的なところかな。
よくわからんないけど。」

C輔くんの証言
「ボクの就職活動は成功だった。
いい事務所に入れた。
同期の行った事務所より給料が高いので、よく、うらやましがられる。
トップが直接、起案をみてくれるので勉強になる。
ちからがつくのがよくわかる。
新人から仕事を大胆にまかせてくれるので、大手に行った同期よりやりがいがあって、バリバリ働ける。
新人の間は、もっと働きたいんだけど、11時で、事務所の入っているビルの空調が切れちゃうんだよなあ。」

じつは、A男さん、B子さん、C輔くんの事務所は同じ事務所です。

同じ事務所に入っても、不満をもつ人と、満足している人がいます。

なぜでしょうか?

それは、
個人の価値観はそれぞれ違う
からです。

そのため、評価する人によって、同じ事務所であっても「いい事務所」であることもあれば、「悪い事務所」であるのです。

少し、深堀しましょうか。

まず、A男さんの言動からすると、A男さんは、
「プライベートを優先する。
あまり遅くまで仕事をしたくない。
訴訟事件は好きではない。
裁判所に立つこと自体に価値を認めていない。
自分のペースで仕事をしたいので、ボスからの指導はあまりのぞんでいない。給料は大手の水準を基準としている。」
という価値観のようです。

 

B子さんはどうでしょうか?
「職場の仲よさを重視する。
平日は多少遅くても気にはならない。
弁護士会の委員会活動を重視している。
土日のプライベートな時間を確保したいが、仕事をするうえで、自分の意見を反映させてほしい。給料にはこだわらない」
という価値観のようです。

C輔くんは、
「プライベートより仕事を優先する。
弁護士としての成長を優先する。
帰りが遅くなってもバリバリ仕事をしたい。
法廷に立つことに価値があると考えている。
ボスから指導してもらってちからをつけたがっている。
給料は、自分の同期を基準としている。」
というところでしょうか。

誰の価値観が正しいとか、望ましい、ということはありません。
個人の価値観に優劣をつけることはできないのです。

自分の価値観や生き方と事務所の客観的な方針、ボスのやり方が合っていれば
「事務所選びとしては成功」
したと言ってよいでしょう。

一方、自分の価値観や生き方と、事務所、ボスの価値観が異なっていれば、
「事務所選びとしては失敗」
ということが一応言えそうです。

そこで、次のように言えるでしょう。

自分に合う事務所

実際に就職した事務所
が一致しないことが「事務所選びの失敗」である。

したがって、事務所選びに成功するためには、

  1. 「自分に合う事務所はどういうところか」を明確にすること
  2. 自分に合う事務所に、なるべく近い事務所を探すこと

という、2つの段階がある。

しかし、現実には、そもそも、「自分に合う事務所」を深く考えずに就職してしまう人が圧倒的に多い。
「早く決まったから」
「面接のときのフィーリング」
「友達が行くから」
「人気が高い事務所だから」
「給料が高いから」
というだけことで事務所を決めると、実際に事務所で働き始めてから
「こんなはずではなかった」
と、後悔する可能性がある。
なぜなら、その事務所は、じつは「自分に合う事務所」とギャップが大きいかもしれないからである。