弁護士の勤務条件
弁護士の勤務条件はベールにつつまれています。
就職するまでは、弁護士の勤務条件というものが、一般に語られることは非常に少なかったと思います。
なぜ、そうなっているか、といえば、そもそも、法律事務所というものは、個別性が強いうえに、他の業界には無いような慣習が多々あるからです。
また、少なくとも5年前までは、法律事務所に就職するときには、
細かいことは気にしなくても、悪いようにはされないであろう
という期待がありました。
また、法律事務所の方でも、せっかく来てもらった新人弁護士に、待遇面で不満をもたれることは恥だ、という思いがありました。
ただ、最近では、修習生の就職事情が悪いこともあり、また、法律事務所の方も経営状態が悪化する事務所が相当に増えてきているため、少し気をつけておかないと、就職してから
「こんなはずではなかった」
と、驚くことがあるかもしれません。
ここで述べるのも、あくまで一般論ではありますが、法律事務所の勤務条件を評価するための、視点、論点、にはどういうものがあるのか、ということは踏まえておくべきでしょう。
たとえば、
A事務所 年収500万円
B事務所 年収480万円
という条件だけ見れば、A事務所の方が待遇がいいように思います。
でも、ここで、
A事務所 年収500万円 弁護士会費は個人負担
B事務所 年収480万円 弁護士会費は事務所負担
という条件があったら、どうでしょうか。
弁護士会費は、弁護士会の場合、月額4万3000円程度になります。年間だと、12カ月で51万円程度の負担になります。
そうすると、弁護士会費の負担を考えれば、B事務所の方が収入面では実質的には上ではないか、という評価もあり得ます。
ところで、法律事務所の勤務条件は、さまざまでしょうが、共通しているのは、残業代は出ないということです(笑)。
この点は、裁判官、検察官、弁護士、法曹三者に共通しています。
法曹三者の年収は、それなりに高いですが、その分、長時間働いている、ということです。