労働時間について
弁護士の労働条件というのものは,かなり特殊である。
まず,労働基準法を全く守っていない。
事務所に何時から何時までいなければならないという時間的な制約はない 。
直行直帰もよくある 。
たとえば,刑事事件をしているときは,朝から直接,警察署に被告人との接見に行き,それが終わったら,別の裁判のために裁判所に直接いく,ということは,きわめてよくあることだ。
休日については「休む」と宣言すれば比較的自由にとれる 。
勤務時間という概念はない
仕事の締め切りが基準となる。期日までに仕事を完了していれば早く帰っても文句は言われないが、期日までに間に合わせるためなら深夜まで仕事をするのは、むしろ常識
残業代というものはない
弁護士会の委員会活動や弁護団活動には寛容な事務所が多いが、最近では制約する事務所もあるようだ
大手渉外事務所の労働時間について
弁護士の業界は,労働時間については,ほとんど法律を守っていないが,
大手渉外事務所の労働時間は,一般の社会常識と比較すると,かなり異常なレベルとなっている。
よく言われるのが,
大手渉外事務所は,9時から5時まで働く
ということである。
もちろん,「午前9時から午後5時」ではない。
午前9時から翌朝午前5時まで,20時間働くのである。
「はあっ?言っている意味がわかりません」
というのが,通常の感覚である。
しかし,これは,大手渉外の知り合いがいたら聞いてみたらよい。
ほんとうに,大手渉外では,午前9時から翌朝午前5時まで,20時間働いているのだ。
普通の感覚では,これは,完全なブラック企業である。
しかしながら,なぜか,大手渉外事務所では,この「異常な」雇用慣行がまかりとおっている。
また,これが「問題」として社会的に大きく取り上げられたこともない。
不思議なことだ。
若い人は,「わあ,大手渉外系事務所だ!オフィスがきれいだわ!」と思って喜んでいるのかもしれないが,
私たちのように,事情を知っている弁護士からみれば,
「1日20時間くらい働きたいのかね…」
と,心配になるところがある。十分に事情を知ったうえで志望を出しているのであれば,他人が知ったことか,ということなのだろうが……