面接の重要性
司法試験で良い成績をとろうとすれば,数年にわたり一日十時間も勉強しなければならない。
一方,面接の練習は,場合によっては一日で終わるかもしれない。
その二つ,司法試験の成績と,面接が,じつは,選考においては,同じ価値があるとしたら?
あるいは,最終選考の段階では,司法試験の成績などそっちのけで,
「彼は,表情がいい」
「彼女は,受け答えが,はっきりしていて頭がよさそうだ」
「彼は声がいい。自分に自信がありそうだ」
「彼は,さわやかな印象がある」
という,面接をもとにした,人柄面の評価が大きいとしたら?
あるいは,最終選考の段階で
「彼は,なにか,しゃべり方が変だ」
「彼は,話した感じが暗い。うちの事務所で働かせても大丈夫だろうか?」
「彼女は,話し方が幼い。幼児性があるのでは?」
という理由で落とされていたとしたら?
修習生にとっては,ショックかもしれないが,経験のある採用担当者なら,当然のように,こう答えるであろう。
「印象がさわやか?それはとてもいい。では,合格させるか?」
「受け答えがはっきりしていると。それは最高だ。では合格だね」
あるいは,より高い確率で,こう答えるであろう。
「話し方が幼稚だと?それはダメだね。幼稚な人間にろくなやつはいない。彼は終わった。では,次の候補者は?」
「暗い?最悪だね。暗い性格の人間が事務所にいると事務所が暗くなる。うちには合わないキャラだね」
「そう,うちにはキャラが合わないね」
企業の面接であれ,法律事務所の面接であれ,面接というのは,人柄,印象,話した感じ,を総合的に判断する場面である。
そして,どこの企業でも,法律事務所でも,書類選考のあとに面接をおこなう。面接をしてから書類をみるところはない。
これは,なにを意味するか?
書類よりも人柄が重要だ
ということである。
よく,就職活動は,恋愛にたとえられる。
採用であれ,恋愛であれ,そこには,好きという感情的な気持ちがなければ成立しようがないのである。
あなたは,書類に対して恋ができるのか?
私にはできないなあ。
人間が好きになるのは人間であり,書類ではないからだ。