採用側の事情
就職活動に際して,採用する側と修習生側とでは,そもそも,目的意識のギャップが存在する。
修習生側は,就職をすることが目的である。
(まさか精神修養のために就職活動をしているわけではあるまい)
しかし,採用する側は,採用すること自体が目的ではない。
「新人を採用することで,事務所を発展させたい」という目的があるから採用活動をしているのである。
採用する側にとっては,採用活動とは,目的ではなく手段にすぎない。
採用する側にとっての採用活動というものは,
「目的を達成するためにおこなっている活動であって,やらなくて済むならやりたくないもの」
でもある。
したがって,採用する側としては,必ず
「この人を採用したら,事務所は発展するのか?事務所がいい方向に向かうのか?」
ということを必ず考えている。
冷厳たる事実を認識せよ。
法律事務所は,あなたのために採用活動をしているわけではない。
就職活動をするときに,デキナイ修習生は
「就職できないと私は困りますんで,就職させて!」
という切り口で就職活動にのぞんでしまうわけだが,そういう切り口は考え直した方がよい。
まずもって,世の中,他人との交渉が必要な場面で,自分の都合だけを前面に押し出すのは,嫌われるもとである。
「就職できないと私は困る」
というのは,あくまで,自分の都合であって,相手の都合ではないのだ。
相手がいる場面では,相手方の都合も考えないといけない
また,相手に合わせることができるのであれば,相手に合わせた方が,物事はスムーズに進むはずである。
教訓
採用してほしいのであれは,法律事務所の立場にたって,一度,考えてみましょう。
そのように考えるのであれば,
就職活動のときに,デキル修習生ならば
「採用側が『この人を採用したら事務所は発展するのか?』ということを考えているのであれば,採用側に対しては『私を採用したら事務所が発展しますよ』ということをアピールできればいいのではないか?」
と考えるものなのである。
(もちろん,諸君は,デキル修習生であろう)
したがって,
「私を採用したら,今すぐに事務所が発展しますよ」
ということをストレートに言えるのであれば,たしかに採用にプラスだ。
ただし,新人採用の場合,ここでひとつ問題が発生する。